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また桜は散り過ぎて
第12章 喜びは戸惑いへ
 体のあちこちが小刻みに震え出した。
それって、私があなたを好きだと確信していっているの?でもその前に・・
「あの・・それって、私が省吾さんを好きだという前提で、
 同じように省吾さんも私のことを好きだってこと?」
ゆらゆらとした声の質問に、一拍おいて返ってきた答えは、そういうこと、と軽い一言だ。
「晴海ちゃんの気持ち、じわじわと伝わってきた。俺の事、好きになってくれたなって。
 その気持ちに俺も応えようと思う。どう?」
 よく・・わからなかった。
もっと喜ぶんじゃないかと思ったのに、嬉しさの反面戸惑いも感じている。
小西さんの方が好きだという気持ちがあるからなのだが、それだけではない。
私が省吾さんの事を好きだから、自分もそれに応えよう、
という言葉が引っかかっているのだ。
どっちが先に好きになったか、なんてことは、どうでもいい事なのかもしれないが、
だったら私が省吾さんを好きにならなければ
彼も私のことを好きにならなかったのだろうか。
そんなひねくれた考えが、頭の中をゆっくりと回っていた。

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