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また桜は散り過ぎて
第12章 喜びは戸惑いへ
「やすのり!ダメじゃないの、走り回って」と子供を抱きしめながら𠮟りつける。
それから私たちに向かってすみませんでしたと頭を下げた。
「ごめんなさい、大丈夫でしたか?」
恐縮する母親に、大丈夫ですと大げさなくらいに笑いかけていると、
「ボク、やすのりくんていうの?おじさんのお兄ちゃんとおんなじ名前だね。
きっと賢い子になるよ」
頭をなでながら省吾さんは子供に話しかけた。
そばで聞いていた私は・・当然、絶句した。
省吾さんのお兄さんの名は、やすのり。
やっぱり、二人は兄弟なんだ・・
再び走り出した子供を追って母親も走り出す。その後ろ姿が陽炎のように揺れて見える。
さあいこうか、と手を握られたけれど、私は小さく首を振った。
「ごめんなさい・・私、行かれない・・」
そっと手を緩めた省吾さんの顔を見ないで、深く頭を下げてから彼に背を向け歩き出した。
それから私たちに向かってすみませんでしたと頭を下げた。
「ごめんなさい、大丈夫でしたか?」
恐縮する母親に、大丈夫ですと大げさなくらいに笑いかけていると、
「ボク、やすのりくんていうの?おじさんのお兄ちゃんとおんなじ名前だね。
きっと賢い子になるよ」
頭をなでながら省吾さんは子供に話しかけた。
そばで聞いていた私は・・当然、絶句した。
省吾さんのお兄さんの名は、やすのり。
やっぱり、二人は兄弟なんだ・・
再び走り出した子供を追って母親も走り出す。その後ろ姿が陽炎のように揺れて見える。
さあいこうか、と手を握られたけれど、私は小さく首を振った。
「ごめんなさい・・私、行かれない・・」
そっと手を緩めた省吾さんの顔を見ないで、深く頭を下げてから彼に背を向け歩き出した。