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また桜は散り過ぎて
第13章 クリスマスの夜に
 ドアを開けると満席だったが、壁際のいつもの私の指定席は開いていた。
テーブルの上には予約席と書いた札が立てられている。
入ってきた私に気付いた小西さんが、大きな笑みをたたえながら
壁際の予約席を手で差した。
 遠慮がちに席に着くと、すぐに小西さんがやって来て、
札と交換するようにお水とメニューを置いた。
「いらっしゃい。席、取っておきました」
見上げて目を合わせると、恥ずかしそうに目を逸らした。
「ありがとうございます。待っていてくださって・・ありがとうございます。
 今日はコーヒー二杯飲んでいってもいいですか?」
長居します、と宣戦布告のようですねと笑いながら言うと、小西さんもつられて笑った。
 クリスマスの特別なケーキのデコレーション。
どのケーキにも期待しているが、やはりクリスマスの雰囲気に合わせて
ガトーショコラに決めた。


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