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恋とエロス
第2章 泣くほど恋しいひと
音楽サークルに入っていながら、スポーツも得意で筋トレが趣味という、身長185センチのいわゆる細マッチョ。それだけの身長がありながら小顔で、目の大きい可愛らしい顔立ちをしていた。
私の目には松丸さんしか映っていなかったのに、夕海や他の子たちは目立つイケメンの道成に目を奪われていたらしい。
その後、サークルの新歓コンパや説明会を経て、私や夕海を含めた数人が入会したのだが、その過程でなぜかやたら道成と同席することが多かった。
帰りも駅まで送ってくれるなど親切で優しく、私はサークルについてのほとんどの事項を彼から教わった。
周囲の先輩たちの態度もなんだかおかしいし、変だなとあやしんでいたら、みんなで画策して私たちをくっつけようとしているのだと聞かされた。
どうやら、私は道成の好みのタイプどストライクだったらしい。
「よかったね。万結、はじめから豊川さんのこと、かっこいいって言ってたもんね」
夕海にそう言われて、誤解されていたことを初めて知った。
彼女が誤解したまま、そのことを他の先輩に話したせいでこんなことになったのだとわかり、言葉を失ってしまった。
「聞いた以上は私もさ、陰ながら応援するしかないなって思ったんだ。豊川さんモテ男だし、他の子たちが寄ってく前に牽制しなきゃって」
夕海は良いことをしたと信じて疑わない様子で、口は軽いがお人好しな彼女を責めることは、私にはできなかった。
それに、すでに真相を口にできない空気でもあった。
道成は人気者だった。
素直で裏表がなく、人懐っこい犬のような性格が、先輩にも同輩にも好かれていた。他にも教授や講師、職員、学食のおばちゃんなどなど、学内のあらゆる層の人々から可愛がられ、こよなく愛される存在であった。
しかも信じられないことに、道成はそれまで誰とも恋愛したことのないピュアな男でもあったのだ。
そんな人が、好みどストライクな新入生が、自分のことを「かっこいい」と言っていたなんて聞いたら、浮かれてしまうのも無理はない。