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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才
椅子から立ち上がった僕を早坂先生は「ちょちょちょちょ!!!」と声を張りながら両手を広げて止める。
「この授賞がとんでもない事だって事、君は分かっていないみたいだね??? どれだけ大事な用事か知らないけど、この授賞式より大事なんてこの世にあるはずないよ」
「いや、ありますよ」
「はぁ!?!? なに!?!? 言ってみなさい」
「ほのか先輩の誕生日です」
僕の回答に固まった早坂先生は、ワナワナと震えた後、広げていた腕を下ろすと頭を抱えて大きなため息を吐いた。
「………と、いうわけですので」
僕がどれだけほのか先輩のことが好きなのかは、早坂先生だって知っていること。
何も言い返してこない早坂先生をすり抜けて、僕はほのか先輩の待つ生徒会室へと向かう。
きっと今頃先週の文化祭の片付けで大忙しだ。
大きな物を持って怪我とかしていないか……
急いで行かないと。
美術室を出て、小走りで生徒会室に向かうと、後ろから気配を感じたので振り返ると、早坂先生が何も言わずに勢いよく僕を追いかけてきているのが見えて、身を震わせた。
真顔でダッシュしている早坂先生の姿はすごく怖い。
「っ………なんだよもう」
焦った僕もスピードを上げて逃げるように生徒会室に向かうけど、早坂先生は諦めることなく生徒会室まで追いかけてきた。