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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才
「先生、勝手にほのか先輩と話さないでください」
「別にいいじゃん。先生と生徒なんだから、別に谷川くんの許可がなくたって話すよ」
「………っ…」
まさかのほのか先輩に止められて、言葉を飲む。
落胆していると、先生はそのままほのか先輩から手を離して深く頭を下げた。
「その日、お昼過ぎから夕方ごろまで、谷川くんを貸してください!」
「え? 別にどうぞ」
「「……っ……えっ…!?」」
早すぎるほのか先輩の返事に、早坂先生と僕は声をそろえる。
「ほのか先輩っ……!」
「い、いいの!?」
「…………いいの、も何も別に私が決めることじゃないですし」
ほのか先輩の言葉を聞いて、早坂先生は、「よし!」とガッツポーズをしている。
それに慌てて僕はほのか先輩に駆け寄った。
「そんなっ……! 誕生日なのにっ…」
「そうだけど……。てか、別に谷川くんと何も約束してないよね?」
「っ……してないですけど……でも一緒に過ごすもんだってっ…」
「で、その日何かあるんですか?」
無視されて虚しくなりながら、僕とは逆に目をキラキラさせている早坂先生を眺める。
何もかも先生のせいだ。
「谷川くんのコンテストの授賞式! だけど、谷川くん、君の誕生日だから行かないって言い出して…」
「………なるほど」
僕の方を再び向いたほのか先輩は少しムッとした表情を見せてきた。