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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才
∝─── ほのかside ───∝
「もう、僕のこと嫌いになっちゃったんですかっ……」
「……っ…………」
「ほのか先輩の誕生日、初めてだから祝いたくてずっと楽しみにしてただけなのに……っ」
谷川くんのうるうる攻撃に戸惑っていると、周りからの視線が痛くなってきた。
私は間違ったことを言ってるつもりはないけどっ……
「おい、安藤……。もう少し優しくしてやれよ。ホマレがかわいそうだろ?」
「う、うるさいなぁっ……」
星野くんのちゃちゃを適当にいなしながら、助けを求めるように葵ちゃんのことを見るけど、葵ちゃんもそうだそうだと言わんばかりの顔をしているので、途端にやるせなくなって肩の力を抜いた。
「………ちょっと…言いすぎたかもしれない…」
頭を掻いた私は、深呼吸をして谷川くんを見つめる。
谷川くんの世界はどうやら私中心に回っているらしい。
たしかに谷川くんの言う通り、私の18歳の誕生日は人生で一度しかないけど、誕生日としてはこれから何度もあるもので……
どう考えたってコンクールの授賞式の方がレアだけど、谷川くんに取ってはそんなに重要じゃないみたいだ。
「………授賞式で、賞を受け取る人って…っ…か、かっこいいだろうなぁ」
「えっ……?」
分かりやすい私の釣りの言葉に、谷川くんは目の輝きを取り戻した。