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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才
「………僕が受賞している姿を見たら、かっこいいって思ってくれるってことですよね…? それってもっと好きになってくれるってことですか?」
「っ………え、う、うーん…そうだね…」
あまりに純粋に迫られて言葉が詰まる。
すると、谷川くんは少し困ったように握っている手に視線を落とした。
「…………授賞式、終わったら、お祝いさせてくれますか…?」
「ちょっと遅くなっちゃうけど」と言葉を添える谷川くんを見ながら、胸が震えるのを感じる。
お祝いさせてくださいって、なんか、変な言い方だけど…
「……………うん…」
「授賞式、かわいい格好で来ないでくださいね。目立っちゃって危ないですから」
「……………は、あ」
「まぁ…どうせ何着たってかわいいんですけど……。とにかく、誰に話し掛けられても無視するって約束してください」
そう言いながら谷川くんは、脇で目を輝かせている早坂先生にキツい視線を投げた。
「早坂先生、絶対ほのか先輩から離れないでくださいよ」
「ラジャー!!」
グーっと親指を立てる早坂先生に谷川くんは諦めたようにため息を吐く。
「じゃあ……授賞式…でます」
よしゃー!!!と大きな声を上げる早坂先生に乗せられて、そばにいた星野くん、平井くん、葵ちゃんも拍手していた。