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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才
あんまりみんなが驚くので居た堪れなくなっていると、いつも一番興味なさそうな平井くんが、メガネをくぃとあげて私を見る。
「……なるほど…押されすぎて負けましたか」
「ち、ちがっ…」
く、ない。
その通り。押されすぎて、それが当たり前になり、好きと言われすぎて気になってきてしまったという分かりやすいそれ、だ……
「だったらもうそれって付き合ってるんじゃねぇーの?」
「その通りです。星野先輩、初めていいこと言いましたね」
「………なんだその言い方は…」
あーだこーだと言い合っている谷川くんと星野くんを呆れながら見ていると、早坂先生がハッとした顔をして私の腕を掴んだ。
「安藤さん! これは谷川くんを確実に授賞式に出させるためのいい材料になるよ!!」
「えっ……?」
耳打ちされた言葉の内容の意味を懸命に考える。
そして、なんとなく先生の言っていることが分かった私は少しきつめに先生のことを見つめた。
「……私の人生をダシにしないでください」
「うっ……そ、んなつもりはない、よ」
変な風に言葉を区切る先生に片眉を上げた私は、はぁ…と溜め息を吐いた。
まぁ、もうごちゃごちゃいうのも、違うだろうし……。
「谷川くん」
「は、はい…!」
食い気味で返事をした谷川くんに、星野くんが蹴散らされている。
それを遠めで見てたあと、私は再び谷川くんのことを見つめた。