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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才




谷川くんが見つめるなか、私はすぅ…と軽く息を吸う。



「…………ちゃんと、何も問題を起こさず、真面目に授賞式に出たら…」


「………はい…」


「………彼氏…に…して…アゲテモ…イイヨ」




緊張したせいで、後輩変なカタコトになってしまった。


それに顔が紅くなるのを感じてすぐに俯いた。


………てか、『彼氏にしてあげてもいい』ってめちゃくちゃ偉そうな言い方だし…。


てかてか、本当にそれでいいのか、ほのか!?


ついに引き返せなくなっちゃうけど………



「………ほのか先輩…それ……本当、ですね?」



やっぱりなし、というなら今。



別に言い切らなくても、『彼氏にしてあげること考えてあげる』くらいにしても……



「…やったっ…嬉しい……っ」


「っ…うわぁっ…ちょっと…!」



突然みんなの前でぎゅっと抱きしめられて、慌てるけど、谷川くんがあまりに嬉しそうにニコニコしているので、その笑顔に釘付けになった。



「絶対っ……! 絶対ですからね…!」


「……………っ……」


「………あとで、やっぱりなし、とか、ダメですからね!」



気付いたら、コクリと首を縦に振っていた。



「くぅぅーー青春してるねぇーー!!」



元凶の早坂先生が脇でちゃちゃを入れているのを聞きながら、私はひたすらに火照った顔を手で仰いでいた。



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