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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才








以前買った保湿のパックを引っ張り出して、鏡を見ながら顔に貼る。



あっという間に、谷川くんの授賞式前夜。


ソワソワしながら、パーティー向けのワンピースを体に押し当てたりスキンケアをしているわけ、だけど…



あの日から、谷川くんは本当…なんというか、


グダグダのグダグダで…簡単に言うと腑抜けてしまった。


いつも通り付き纏ってくるわけだけど、あまり強引なことはせず毎日毎日だらしない顔で「僕が先輩の彼氏になるまで後○日ですね!」と、ノイローゼになりそうなほどカウントダウンをしていた。


その度に、彼氏になるまで、じゃなくて授賞式まで、でしょ、と思うけどそんなこと言ったってきっと聞かないし適当にいなすフリをして……


結局変に緊張しているのは私の方だ。


………この緊張は、谷川くんがちゃんと授賞式出られるのか、の心配、なハズだ。



「はぁ………」



溜め息を吐きながら、顔のパックを剥がす。


もう日付が変わってしまう。



「ねる……か」



未だにソワソワしているのを何とか落ち着こうとキッチンへ行ってハーブティーを入れる。


それを一口飲んでテーブルにカップを置いたところで突然ピンポーンと来客を知らせる音が鳴り響いて思わずビクりと体を震わせた。



時計を見るとちょうど0時。


こんな時間に…誰だろう。


怖いと思いながら、インターフォンを見ると、紛れもなく谷川くんが映っていたので、「うぇ!?!?」と一人で素っ頓狂な声を上げた。


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