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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才



何で、こんな時間に谷川くんが……?


てか明日授賞式なのに…っ


とりあえずインターフォンの受話器を取った私は、それを耳に当てた。



「……ちょっと、何時だと思ってんの? 明日も授賞式なんだから────」


「───────ほのか先輩! 誕生日おめでとうございます!!」


「え………あ………」



突然叫ばれて、私は肩を落とす。


今日は、谷川くんの授賞式……そして…私の誕生日だ。


授賞式を気にしすぎて完全に忘れていた。




「渡したいものがあるので、ちょっと会えませんか?」


「あ……っと…」


「ここ開けてください!」



深夜とは思えないボリュームで元気よく叫ぶ谷川くんに、呆れながらエントランスの扉を開ける。



帰りなさいと言うことだって出来たけど、グズグズ深夜に大声出されても迷惑だし、何より私のために0時を狙って来てくれたのに突き返すのも悪い気がした。


何となく部屋の中を片付けていると瞬く間に再びピンポーンと音が鳴る。


ふぅ…と息を吐いてから、何でもない風を装ってゆっくりと扉を開ける。




「………別にわざわざこんな夜遅くに来なく…………て…も……って…え……?」



目の前に広がるたくさんの薔薇に、瞬きを繰り返す。


何本あるのかは分からない。


とにかくたくさんで、圧倒されていると薔薇の奥からひょこっと谷川くんが顔を出した。



「先輩!好きです!お誕生日、おめでとうございます!大好きです!」


「…………………」


「………はぁ…18歳のほのか先輩はさらに一段とかわいくて美しいですね…」





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