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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才

用意周到だなぁとそんなことを思いながらも、ハッとして私は頭を振る。
呑気なこと言ってる場合じゃない。
「てか、明日授賞式なんだし、明日も会えるんだしっ…こんな夜遅くに来なくて良かったのに」
「ダメですよ」
「ダメ……?」
「だって、18歳になったほのか先輩を一番に祝いたいし、18歳になったほのか先輩と一番に会いたいですもん」
緩く微笑んだ谷川くんは、ごそごそとズボンのポケットの中をいじると、ゆっくりと私に近付いて、私のことを優しい見つめた。
目の中のヒマワリが一段と輝く、優しい笑みに吸い込まれそうになっていると、「ほのか先輩」と同じく優しい声で私のことを呼んだ。
「おめでとうございます。生まれてきてくれて……僕と出会ってくれて……そして…僕のことを好きになってくれて……本当に本当にありがとうございます」
そう言いながら、私の首元で谷川くんは軽く手を広げる。
「……これ、そんなに高いものじゃないですけど」
「えっ……」
シックに青く光る宝石がついたチャームのついたネックレスが谷川くんの手の中で輝く。
そして、そのまま谷川くんはそれを私の首につけた。
「本当は指輪とかも考えたんですけど……指輪ならちゃんと自分で稼いで、いいものを渡したいので」
そう言って一歩引いた谷川くんは、私の首元を見てほんのりと頬を紅らめる。
「似合いますね……」
胸を高鳴らしながら、私もゆっくりと自分の首元を見てチャームを掴む。
「まぁ、ほのか先輩なら何でも似合いますけどね」

