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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才



†─── 誉(ほまれ)side ───†




ゆっくりと顔を上げて、屈託のない笑みを向けられて、僕は唇をぎゅっと閉じた。



「………やりすぎだけど」


「………これでも抑えました…」




薔薇だって101本だけじゃ到底僕の想いには足りない。


『これ以上ないほど愛してる』なんて程度を超えてるんだから。


プッとほのか先輩が吹き出す。


お風呂上がり、パジャマ姿のほのか先輩はいつもの学校の姿とは違う魅力がある。


毎分毎秒、かわいいを更新するその姿をずっと見つめて目に焼き付けていたい。


そんなことを考えていると、ほのか先輩は、少しだけ頬を紅く染めた。




「……嬉しい」


「─────……っ」




ゆっくりと、堪能するように紡がれたほのか先輩の言葉が、ジワりと僕の胸に溶け込む。



思わずぎゅっときつく抱きしめたあと、いきみを逃すように、ふぅーーーっと息を吐いた。




「………どうしたの?」




いつもの如く強烈な破壊力のある上目遣いで見上げられて、僕はすぐさま目を逸らし天井を仰いだまま顔を手で覆った。


今度ほのか先輩とキスする時は……彼氏になれた時。


そう自分の中で決めていた。


だから明日の……厳密には今日の絵の授賞式後までは我慢……ってそう決めていたのに、決心が揺らぐ。




「谷川くん……?」


「ま、惑わさないでください……っ」


「え?」



首を傾げるほのか先輩がまたかわいい。


ダメだ。


わかってたけど、何したってかわいくて惑わされる。


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