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先輩!彼氏にしてください!
第11章 先輩!彼氏にしてください!
「うーん」と唸りながら格好を上から下まで見られて戸惑う。
それよりも、先生の方がもっとちゃんとしたほうがいいだけな気がするけど、という言葉は飲み込む。
「やっぱり、美人だね、安藤さん。そのネックレスも素敵」
「こ、これは…」
昨晩、谷川くんからもらった小さなサファイアのネックレス。
デザインもかわいいし、せっかくだから着けてきたのだけど、突然言われると小っ恥ずかしい。
「センスがいいね」
「…………は、あ」
つまりは谷川くんのセンスがいいってことなんだろう。
「谷川くんのいう通り、ちゃんと護衛しておかないとナンパされちゃうね」
「まさか」
主役は受賞する人たちだし、私は脇でその姿を見ているだけにすぎない。
こんなところでナンパする人なんているわけがない。
「さぁ、じゃあ愛しの彼の晴れ舞台、見に行こうか」
大袈裟で茶化した言い方に、適当にはいはいと返事をして足を進める。
だだっ広い会場に、大きな幕。
ただ見ているだけのはずの私がドキドキと胸が鳴っているのは……
「ここが席だよ」
中ほどの端っこの椅子に案内され、席に座る。
チラチラと腕時計を見て、過ごしているうちに司会の人が出てきて話し始めたので私は背筋をピンと伸ばした。