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先輩!彼氏にしてください!
第11章 先輩!彼氏にしてください!
表彰式が始まって、優秀賞の子たちが自分たちの絵の隣に立って受け取った賞をこちらに見せている。
マスコミの人たちが、おーとか、わーとか言いながら、そんな彼ら彼女らの写真を撮っている。
初めてきた世界。
谷川くんに会うまで、こんなコンテストがあることも、こうやって絵を描く人たちがたくさんいることも、知らなかったし意識もしたことなかった。
何の専門家でもない私は、声も出さずにただただ目の前の人たちに圧倒されていく。
そうこうしているうちに、ついに谷川くんの表彰が始まって、何故か緊張してきた私は両手をぎゅっと握った。
前代未聞の最優秀賞と、審査員特別賞のダブル受賞────
司会の人が壮大に紹介すると、さっきまでとは比べ物にならないほどカメラの光が瞬いて、カシャカシャと音が響き渡る。
それにびっくりする間も無く、傍から堂々と現れた谷川くんは、心底どうでも良さそうな顔をしながら、舞台の中央へと向かった。
カメラのシャッターの音の中、「おぉ…イケメン…」とみんなが声を上げているのが聞こえる。
場が最高に盛り上がっている。
舞台にいる谷川くんは芸能人さながら……。
普段私のそばにいるなんて信じられないなぁなんて思っていると、傍から現れた人が舞台上の絵に掛かっている布をまくり、さらに大きな歓声が上がった。