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先輩!彼氏にしてください!
第11章 先輩!彼氏にしてください!


すでに一度見たことのある私の絵が、舞台上で光り輝く。


改めて、ダブル受賞も頷ける、まさに『生きた絵』。


天才現るとばかりに周りが騒ぎ、さらにカメラのシャッター音が激しく鳴れば鳴るほど、谷川くんの顔が顰めっ面になっていった。


…………何で前代未聞のダブル受賞を果たした彼があんな顔をしてるのか…


取りたくたって取れなかった人たちがほとんどだというのに。


贅沢な谷川くんは気怠そうに賞状を2つ受け取ると、係の人に言われてしばらく絵の隣に立ちながら、報道陣の撮影のために、体を様々な方向に向けている。


目立つ顔立ちだっていうのに、本来は目立つのが好きじゃないからか、早く終われと顔がそう言っているのが分かる。


手を叩いて拍手を送っていると体の向きを変えた谷川くんとバチッと目が合った。



「君の男、やっぱり中々かっこいいねぇ」



それと同時に隣にいた早坂先生が耳元で変なことを呟くから、思わず顔をカァッと熱くしていると、舞台上の谷川くんが微かに目を見開いたのが分かった。



「あの、谷川さん、今回の作品の作成期間は…」
「この絵のモデルは…」
「前代未聞のダブル受賞ということですが、受賞を知った時の気持ちを率直に…」



記者の人たちが怒涛の質問を続ける中、谷川くんは私の瞳を捉えて離さない。


周りがざわざわとうるさいはずなのに、シン…と音が消え去るようなそんな感覚に陥っていると、谷川くんは我に返ったように瞬きをすると黙ったまま一礼をして、舞台から降りて記者の人をかき分けながら、一直線に私の方へと向かっていた。

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