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先輩!彼氏にしてください!
第11章 先輩!彼氏にしてください!
†─── 誉(ほまれ)side ───†
「でも、司会の人が閉会だって言う前に谷川くん、飛び出してきたよね?」
ほのか先輩のもっともな言葉に血の気が引くのが分かる。
苦痛でしかなかったあの時間を耐えたのは、全部全部ほのか先輩のためだったのに……
最後、ちょっと我慢できなかったからって全てが水の泡ってことだろうか。
「そ、そんなっ……だってあれはっ…」
舞台から先輩を見つけてしまったから。
かわいい格好で来ないでと言ったのに、淡い花柄のワンピースなんて……
完全に女神にしか見えなかった。
しかも胸元には僕があげたサファイアのネックレスが輝いていて…
それだけで身体中の血がたぎって『こんなところにいるべきじゃない』と本能が僕を突き動かしてしまった。
「………ほのか先輩が可愛すぎるからっ…我慢、出来なくてっ…」
「…………言い訳?」
「っ…………」
言葉に詰まって、僕は目を泳がせる。
目の前に先輩がいるのに……
やっとここまできたのに僕は何をしてしまったんだろうっ……
虚しくて、どうしようもなくて…
でも諦めたくはなくて…
どうしようかと考えあぐねていると、目の前でほのか先輩がプッと吹き出すようにして笑い出した。