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先輩!彼氏にしてください!
第12章 欲求不満な彼氏彼女

とぼけているようにも聞こえる言葉だけど、谷川くんは本気で言っているんだろう。
「………ちゃんと、洗って返す」
「え、そんなっ……ほのか先輩の手を煩わせたくないですし、それに僕が持って帰らないと、明日のお弁当作れないですし」
少し間が空くと、私は紅くなっているであろう顔をようやく谷川くんに向けた。
「─── ほのか先輩…?」
「だから…いいって」
「そんな……今日のお弁当まずかったですか…?」
「違う! すごい、おいしかった…」
段々と言葉が尻すぼみになる。
こういう感覚とか気持ちとか、あんまり経験がないから自分でも何をどう言ったらいいのかが分かってない。
そんな私の迷いを見透かしたように、谷川くんは私の手を優しく掴んだ。
「……あ、明日は私が…」
「…………」
「私が…谷川くんの分も作ってくるから」
「え………? 作ってくるって…お弁当を、ですか…」
コクリと頷くと、私の手を握っている谷川くんの手が少し震えているのが分かった。

