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先輩!彼氏にしてください!
第12章 欲求不満な彼氏彼女



「そ、そんな、それは死ねるほどう、嬉しいですけどっ……でも、無理しな────」


「────── いいから! 黙って明日の昼は空けといて」



恥ずかしさからパッと手を離す。



「……じゃ、私帰る」



谷川くんは? 一緒に帰れる?とは聞けない自分は本当に素直じゃない。


黙っていれば、「じゃあ僕も一緒に帰ります」と言ってくれるのを待っているわけだけど……


「は、はい! あの、僕まだ用があるので帰れないんですけど……ほのか先輩はかわいいからっ…! だからちゃんと気をつけて帰って下さい!!」


思った展開にならないことに、私は小さくため息を吐く。


谷川くんは相変わらず『ほのか先輩、ほのか先輩』ってうるさいし粘着質なことに変わりはない。


だけど、やっぱり付き合ってからどことなく淡白な気がしてならない。


谷川くんが変わったのか、それとも私の方が変わったのか……


どっちなのかは正直よく分からない。



ていうかこんなこと思うくらいなら、「用ってなに?」ってちゃんと聞けばいいのに、何故なのかそれを聞く事が出来ない。



「………はいはい」



結局こんなスカした言葉を返しちゃって、さ。



「もぉ、本気で言ってるんですからね? ちゃんと警戒してください」



遠ざかる谷川くんの声を聞きながら、私は軽く手を振って1人帰路についた。

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