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先輩!彼氏にしてください!
第12章 欲求不満な彼氏彼女


「それにしても……突然こんな事をしてもらえるなんて、本当、夢みたいです」


「あ、そう……」


「急にどうしたんですか……?」



首傾げながら顔を覗き込まれて、無意識に視線をずらした。



「別に」



だって、最近2人きりにならないし。


……何故か手も出してこないし?


なんていう本音はしまい込む。



「別に……ですか」


「…………………」


「もしかして、ほのか先輩……」


そう言いながら、谷川くんは私の視線を追いかけた。


「な、に」


「僕と2人きりになりたかったとか?」



優しく微笑みながらそう言われて、私は軽く目を見開く。



「……って、そんなわけないかー」


おどけている谷川くんを伏目がちに見つめる。


言葉は……敢えて返さない。


また顔が熱い。


本当に調子が狂う───



「っ……ちょっと…黙って顔紅らめてないで否定してくださいよっ……」


美術室は少し他の教室よりも天井が高くて、その分声が響くような感じがする。


さらに黙り込む私を見た谷川くんは、唇をブルブルと振るわせると両手で顔を覆って「ううぅぅ……」とうめき出した。

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