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先輩!彼氏にしてください!
第12章 欲求不満な彼氏彼女
しばらく呻いていた谷川くんがようやく顔を上げる。
口の端についたご飯粒。
それに手を伸ばしながら、頑張って視線を合わせる。
「間違ってないから……否定…しない……」
「────────」
そっちこそ、黙ってないで何か言ってほしいんだけど……。
「………谷川くんって、釣った魚に餌を──ちょっ…」
突然身体を引き寄せられて、グッ…と声が上がる。
それと同時に温もりが体に広がった。
「先輩────…」
心地よい声音が耳元に響く。
こんなに谷川くんと身体を近付けたのはいつぶりだろうか……
「僕と……2人になって、どうしたかったんですか…?」
「っ……なにその質問」
「なにって……」
身体を離した谷川くんは少し目を細めながら私の唇をじっと見つめてきた。
その姿がやけに色っぽくて鼓動が早まる。
頬に添えられた手が温かい。
途端に恥ずかしくなってギュッと目を瞑ると、谷川くんは例の如く「キスします」と私に断りを入れた。
こうやってきくの、本当にやめて欲しい。
わざわざいいよっていうのは嫌で私は黙って目を瞑ったまま谷川くんの方に顔を向けた。