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先輩!彼氏にしてください!
第5章 彼氏までの道のり ─ 序 ─




やはり予想通り先生はいなかったけれども、保健室は開いていて、急いでベッドにほのか先輩を寝かせた。


水とか買ってきた方がいいだろうか。


ポカリとかの方がいいのか。


チラと目に入った小さな冷蔵庫。


あそこに冷えピタは入っているだろうか。


そもそも、もう放課後で、ここに寝るって言ってもあと1時半ちょっとくらいしかいられないだろうし…


先輩の家族に連絡して迎えに来てもらったほうがいいだろうか。


というか……先輩は本当にただの風邪?


何か大きな病気にかかっていて、その前兆とかだったら。


だったらまずは病院に連れて行ったほうがいいのか。


いや、救急車を呼んで─────




「…………谷川くん…」


「は、はい……っ」



弱々しい声音に涙目になりながら答える。




「ただの風邪だから、落ち着いてくれない……?」


「………本当ですかっ…」


「ほんとほんと。昨日クーラー、タイマーするの忘れて…そのままで…寝ちゃったんだよね」


「はあ……」


「朝起きたら喉痛かったし…今日ずっとあんま体調良くなかった…から…」



そう言いながら、ほのか先輩は自分の額に手をやって、「ふぅ……」と息を吐いた。



だったら、絵のモデルなんて…今日はやめるって言ってくれれば良かったのに。


なんで気付かなかったんだろうか。


ちょっと頬が紅いことだって分かってたのに、かわいいなぁなんて呑気なことを思っていた自分にとてつもなくムカついた。

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