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Memory of Night 2
第8章 蛍の思い出

「まあ、ちょっと窮屈かもしれないけど、ボタン上まで締めればギリギリ見えない、かなあ」
「……今どき第一ボタンまできっちり締めてるやついる? 逆に目立つんじゃね?」
「制服着用のお手本になれるね。今日体育の授業ある?」
「ない。明日の三限が体育」
「うーん、一週間は消えないだろうな、その痕」
正直な見立てだったが、告げた途端に宵にぎろりと睨まれる。
「……もう、ぜってーアブノーマルなセックスはやらねーからな!」
「……ごめんて。そんな寂しいこと言わずに」
瞬間、握った包丁を向けられてしまう。
「怖い怖い。刃物は人に向けてはいけません」
ここにいても宵の神経を逆撫でしてしまうだけな気がした晃はそそくさと部屋を退散した。
いつもよりも時間にはまだ余裕があるし、晃も制服に着替えて待つことにする。
広げたままのノートと参考書を片付けながら、赤本はしまったままにしていたことにほっとした。進路についてはまた時間があるタイミングで話そうと思う。
宵が朝食を作ってくれるなんて珍しいから、今はそれをのんびり待つことにするのだった。

