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Memory of Night 2
第9章 臨時ポールダンサー

フロアに春加の姿はなかった。
厨房も覗いたが、そこにもいない。若いスタッフが三人、暇そうに談笑していた。
「あら、翡翠ちゃん。どうかした?」
女性スタッフが宵に気付き、声をかけてくれる。
「春加さん見かけませんでした?」
「見てないね。フロアに居なければ、多分休憩室かな? 緊急?」
「いえ、全然」
「あ、ていうか翡翠ちゃんも休憩入る? シフト短いから入ったことないと思うけど」
「あー……じゃあいただきます。ありがとうございます」
まだ出勤したばかりだったが、確かに暇だった。フロアに出て、土方に絡まれるのも面倒くさいのでありがたい。
「なんか食べる? まかない作ろうか?」
「お腹すいてないので大丈夫です、休憩いただきます」
宵はアルコールが乗ったトレイを厨房のテーブルに置き、頭を下げて休憩室に向かった。
休憩室のドアを開けると、中には春加とマスターの亮が座っていた。二人とも煙草を吸っている。
「おお、宵くんも休憩?」
「おまえも一本吸う?」
「……吸わねーよ。高校生だって」
箱に入った紙煙草を一本向けられ、つい呆れた声になる。
「あ、そうだった」
「ごめんね、けむいよね?」
亮はすぐに煙草を灰皿に押しつけ、消した。
「あ、別に大丈夫ですよ。煙草の匂い嫌いじゃないんで」
「なら良かったよ」

