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Memory of Night 2
第9章 臨時ポールダンサー
「お、準備万端じゃない。プロポーションは全然衰えてないね」
「リップサービスはいいんで、暇なら呼び込みでもしてきてください」
春加の声は変わらず低い。
この店で一番偉い立場のはずの亮にも、一切の遠慮がなくずけずけとものを言う。
だが亮は怒った様子や気分を害した様子は見せず、軽く肩をすくめるのみ。
「売上もヤバそうだしね、お客さん呼びに行ってくるかな」
それどころか、すんなりと呼び込みしてこいという春加の提案を了承してしまった。雨も降っているし、そういう仕事こそバイトがするものなんじゃないかと思うのだが。
「……あの、良かったら俺行きますよ。やったことないけど、店の前で声かければいいんすよね?」
宵は亮に声をかけた。やはり、マスター自らがする仕事でもないと思う。
だが立候補した瞬間春加に一喝されてしまう。
「馬鹿か、駄目に決まってんだろーが。年齢偽ってバイトしてんのに、外になんて出て知り合いに見つかったらどーする気?」
「あー、やっぱまずい?」
「あはは、気にしなくて大丈夫だよ、僕こういうの嫌いじゃないから。ありがとね、フロアをよろしく」
亮は手ぶらのまま、外へと続く扉に向かっていった。