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Memory of Night 2
第9章 臨時ポールダンサー

 宵が店の制服から高校の制服に着替えて外に出ると、雨はまだ降っていた。なかなか本降りだ。

(よく客連れてこれたな)

 関心せずにはいられない。正確に数えてはいないが、十人以上は確実に呼んできていた。普段ならともかく、今日の雨じゃ人通りもあまりないだろうに。次から次へと人を呼ぶ、商い(あきない)の神様にでも好かれているのかと思う。
 一般的に明日土曜日で休みだからか、客もまだ多く残っていた。忙しいなら送らなくていいと言ったのだが、春加は首を横に振る。

「いいから、入口んとこで待っとけ。すぐ行く」

 そうして今に至る。
 従業員が使う駐車場は、店から五百メートルほど離れた場所にある。春加の言葉に従い、ローズの入口の屋根のある場所で彼女の赤いスポーツカーを待った。
 さらに数分後。いつものように到着した車に乗り込み隣を見ると、春加はポールダンスの服装のままだった。エプロンは外し、代わりに黒のジャケットを羽織っている。
 ポールダンスを披露する直前に着用していたものだ。

「……着替えねーの?」
「面倒」

 すでに車は出発している。
 春加らしいと言えば、らしい返しだった。

「そんな靴で運転して大丈夫なのかよ?」
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