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Memory of Night 2
第10章 嫉妬

 晃はようやく府に落ちた。確かに、亀甲縛りは特徴的な縛り方だから、首と胸元の痕だけで型がわかってしまったのかもしれない。
 冷静になってみれば簡単なことなのに、あの場で気付けず、ちょっとでも宵を疑ってしまったことを申し訳なく思った。

「ごめん、ちょっとだけ疑っちゃって。ラブホテルなんていうから、お酒でも飲まされて体調悪いのかなとか考えちゃった」
「酒ならもっと酒臭いって。ただの車酔いだっつの」

 宵はもう一口水を飲み、思いついたように晃を見る。

「なあ、チャリない?」
「チャリ? あるよー、家に。あんま使ってないから動くかわかんないけど」
「それ、貸して。俺も前持ってたけど、高一の時盗まれちまって」
「……君のことだから、鍵かけなかったんじゃないの?」
「…………」

 どうやら図星らしい。すっと視線を逸らす宵に、晃はため息と共に腕組みをした。

「別にいいけど、もしかしてチャリでバイト行くつもり? ーーもう辞めて、他探せばいいんじゃないの? 俺は反対だな。そんな、君の体調を無視して連れまわすような危険な人がいる場所で働くのは」
「……春加の車はもう乗らねーよ。だからチャリで行くって言ってんじゃん」
「呼び捨て?」
「名字が思い出せねーんだよ。呼び方なんか今はどうでもいいだろ」
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