この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night 2
第3章 甘い遊戯

「おめでとう。歳上の彼女さんとお幸せに」
「あき……」
「俺ちょっと職員室に用があったんだった。ごめん先行く」
「はーい」
呼び止める間もなくすたすたと歩いて行ってしまう。背中越しにひらひらと手を振る晃に明だけが手を振り返していた。
声のトーンは普通だった。けれど一瞬見えた晃の目は、とてつもなく冷ややかだった。
赤いスポーツカーの女は、まず間違いなく春加のことだろう。本気で彼女だとは思われてないだろうが、浮気は疑われたかもしれない。だが彼女が誰なのかを言えば、必然的にバイトのことにも触れることになる。だから送り迎えしてもらってることも言わなかったし、迎えにきてくれている場所も、学校から見てアパートとは反対方向の姫橋公園にしたのに。まさか、こんな形でバレるとは。
「ごめん、聞かれるのやだった? クラスの誰にも言わないよ?」
「もういーよ、どうでも」
もともと隠したかったのは晃である。バレたくない人物にピンポイントにバラされてしまったのだから、投げやりな気分にしかなれない。
「そもそも彼女じゃねーし。バイト先の先輩」
「バイト先の?」
「遠いからって迎えきてくれてたんだよ」

