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Memory of Night 2
第17章 台風接近

台所は玄関から入ってすぐの廊下の一番奥にあるらしい。暖簾の下がった入り口を覗くと、明と叔母の姿が見えた。
鍋のグツグツ煮える音と、煮魚のいい香りがした。
「うわ、気持ち悪い、ヌメヌメしてるー」
「そりゃ生魚なんだから当たり前でしょ! ちゃんと血合いを取らないとまな板が鮮血まみれになるわよ。内臓も残ってたら掻き出してね」
どうやら魚を捌いているらしい。
「ああああ、待って待って、顔になんか飛んだ!」
「もう、何してんの! 早くしないと夕飯できる前に日付変わるよ」
「だって……」
やり取り的に、頭を切り落として中を洗っているところだろうか。慌ただしいそれに声をかけるタイミングがわからず台所を覗いていると、ふいに明が宵に気付き振り向いた。
だがその頬には赤い滴が垂れ、右手にも血まみれの包丁。
「……怖」
思わず息を呑みそうになる。完全にB級ホラーの殺人鬼のような風貌だ。
「明、顔に血付いてる」
なんか飛んだ! と騒いでいたのは魚の血らしい。
「え、無理無理無理無理……っ」
包丁を置きキッチンペーパーで一度拭き取るも、やっぱり気になるのか水で洗い流そうとしていた。

