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Memory of Night 2
第19章 夏の思い出

そこまで考え、大山はふと思い当たった。
ーー逆の可能性はないのか?
宵ではなく、明が宵を好きだった可能性。
大山の気持ちを知った明が、感極まって宵に自分の気持ちを打ち明ける。少女漫画でありがちな三角関係というやつか。
大山の頭の中は、まるで嵐のように荒ぶっていた。勝手な憶測がめまぐるしく飛び交う。
唐突に宵が明の手を引き立ち上がる。そのまま歩き出し、大山の視界から消えてしまった。
とっさに大山は窓を離れ、廊下へと続く戸に向かう。衝動のまま二人の元へ向かおうとしたが、部屋を出る前に思いとどまった。
もし二人が、付き合うことにでもなっていたら。そう考えると怖くて足がすくんだ。心臓がばくばくと高鳴っていた。
その場に立ち尽くす大山の耳に、引き戸を何度か叩くノックのような音が聞こえた。
「大山……入っていい?」
明の声だ。
大山はすぐに戸を開けた。
「わあ……っ」
とたんに驚いたような悲鳴が上がった。
声をかけてからあまりに早く戸が開き、それに驚いたらしい。
「びっくりしたー!」
思わずといった様子で明は笑う。
そのまま中に入り引き戸を閉めた。
戸が閉まるまで明の背後を気にしていた大山の口から、ぽろりと疑問が滑り落ちる。
「……宵は?」
「え? ああ、宵なら外に……」
「ーー明は、宵が好きなのか?」
「…………へ?」
明は目を真ん丸くした。

