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Memory of Night 2
第21章 宣伝用ポスター

早口で事情は説明されたものの、結局最後の一言が理由の全てなのだろう。
「マジで人をダシに使うな」
「オファーが来るんだよ。恨むなら、自分自信のそのお綺麗な容姿を恨みな」
皮肉たっぷりに言われ、宵もついむきになる。
「顔なんか、俺が自分で選んだわけじゃねーだろが。てか、あんたが出ればいいじゃん。人の居ない水曜日はステージでポールダンスやれよ」
「やだね、あたしはもうショーには出ない」
「ーーまあまあ、二人とも」
いつの間にか熱い口付けは終了していたらしい。
宥めに割って入ってきたのは亮だった。
「そんなに真剣に考えなくてもいいよ。好きなコンセプトで、お遊び感覚で引き受けてくれれば全然いいから。顔バレは絶対しないように撮るし、ホームページに載せたり店内に貼るくらいだよ。もちろんこっちが勝手に悪用できないよう、きちんと契約書も書いてもらうつもりだから」
「宵、オ願イシマスネ!」
亮とアメリアにも頭を下げられ、さすがに断りづらかった。
「…………」
しばらく無言で考えこみ、結局折れることにしたのだった。
「写真だけですよ」
「ありがとう、宵く……」
「ーーあと、女装は嫌です。絶対に」
「ええっ?」
一斉に上がる嘆きの声たち。
一瞬、和やかになったかと思われた雰囲気が、再び凍りついたのであった。

