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Memory of Night 2
第22章 交渉

春加はソファーから立ち上がり、部屋を出ていく。
「……もしかして、なんか脅された?」
「そうじゃないって」
最初は驚いていた表情がだんだんと心配そうな顔に変わってきて、晃は笑ってしまう。
春加の人物像は、宵の中でどうなっているのか。
「脅されてもないし、普通に平和に話してたよ。そういうんじゃないから、気にしないで行ってきな」
「……おまえは行かねーの?」
「え?」
晃は言葉に詰まる。
年を明けてすぐに共通試験があるし、さすがに泊まりで出かけている余裕はないだろう。
「俺がいないと寂しい?」
晃はからかうように聞いた。宵の性格的に、絶対否定の言葉が返ってくると思っていた。
「……うん」
だが予想に反し、肯定だった。
小さく頷く様(さま)がしおらしい。
「宵こそ、お酒飲んだ?」
「飲んでねーよ!」
ちょうどそのタイミングで春加が戻ってくる。
「……男二人暮らしとは思えない綺麗さだな、トイレも風呂も部屋も。ちょっと引いたわ」
「掃除はほぼ晃」
「へー、マメ。あたしんちも掃除して」
「嫌です」
春加は再びソファーに座り、グラスに半分ほど残っているウイスキーを一口飲んだ。

