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Memory of Night 2
第22章 交渉

「二泊三日のやつ、俺も行っていいんですか?」
「あー、もちろんいーよ。晃も来いよ、勉強道具持ってくりゃいいじゃん」
春加の口調は軽かった。
「なら、年明け前。十二月中にしてください、泊まりの日程」
体調を整えて試験に臨むためにも、それがギリギリだろう。
「はいよ。ならまあ年末にすっか」
春加は残りのウィスキーをいっきに飲み干した。
「……おい、がぶ飲みして平気? それストレートだぞ」
一切割っていないし、氷すら入れてないらしい。
心配する宵をよそに、春加は立ち上がった。
「んじゃ、帰るわ。お疲れー」
着ていた服はあらかじめ袋に詰めていたようで、それと鞄を持ち玄関へと向かう。
唐突なその行動に一瞬呆然としていた二人は、はっとしてすぐに後ろを追った。
「いやいや、ダメだろ!」
「ハル姉、すぐ代行呼ぶから……」
缶ビール二本とウィスキーを一杯ストレートで飲んでいるのに、本気で車で帰ろうとしているのか。
危ないし、法も犯している。
だが春加は二人の制止も聞かず、玄関を開けた。
そこでぴたりと動きが止まる。目前に男が立っていたからだ。
憮然とした春加に胡散臭い笑みを浮かべ、その男は言った。

