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Memory of Night 2
第4章 新たな波風

 ふいに扉が開き、春加が顔を覗かせた。

「宵、片付け代わるからドリンク戻れ。イベント始まる。またカクテル配って」
「……本名禁止じゃねーの? 今終わった」

 春加が中を見渡す。ゴミ箱の中などまでチェックして、頷いた。

「OK。綺麗だな。……おまえ、嫌じゃないの? 人がどんなプレイしたかもわかんない場所片付けるの。最初はみんな嫌がるし、慣れるまで時間かかるんだけどな」
「別に手洗うし」
「……手だけの問題? まあいーや、手洗ってドリンク行って」
「はーい」

 宵は靴を履き外に出ようとして、ふいに思い出し尋ねた。

「そういえばさ、なんで俺に声かけたの? この店で働かないかって」

 春加は振り向き、何を今さらと言わんばかりの顔をする。

「何って、顔」
「俺の?」
「他に誰がいんの」
「……あんたの好みってこと?」
「あたしの好みで店のバイト探すわけねーだろボケ! 無駄口はいいからはよ客の相手してこいや」
「はーい」

 口は悪いが、忙しい時の春加はわりといつもこんな感じだった。
 宵はそそくさとドリンクを取りにカウンターに戻る。
 その後ろ姿を見送りながら、春加はそっとため息をつく。

「そんなこと言って、まあまあ自分好みの子連れてくるよね、ハルちゃん」

 ふいに声がした。
 振り向くとそこにはバーのマスターである三浦亮(みうらりょう)が立っていた。
 亮は四十代半ばだが、年齢よりもだいぶ若く見える。オールバックにした黒髪と黒渕の眼鏡。目鼻立ちがしっかりしたイケメンだった。紺のスーツがより彼の魅力を引き立てている。

「盗み聞きなんて人が悪いですよ」
「たまたまだよ。あの宵くんて子も、ずいぶん手をかけてるよね。送り迎えまでしてあげちゃって。美人だから、客寄せになってくれるし店がまわればいいけどね。……本当にハルちゃんの好みじゃない?」

 物腰柔らかく、マスターは問う。
 春加は軽く肩をすくめ、うっすらと笑みを見せた。その顔に一瞬、何かを懐かしむような、不思議な色が浮かぶ。
 だがそれはすぐに打ち消され、やがて彼女はきっぱりとした口調で言った。

「いいえ、全然。むしろ大っ嫌いです」
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