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Memory of Night 2
第4章 新たな波風

緑色の液体がグラスの中で揺れている。今日のオリジナルカクテルは鮮やかなエメラルドグリーンで、女性客から人気だった。
それにも理由があるそうで、本日のイベントは女性客が比較的集まりやすいからだとカウンター内のスタッフが教えてくれた。
そのイベントというのは、ポールダンスだ。
まだ幕は上がっておらず、バー内はがやがやと賑やかだった。
ショーの待ち客に宵はカクテルを配っている。
「あ、翡翠(ひすい)ちゃん、こっちのテーブルに二つちょうだい」
「はい、どうぞ」
若い女性二人組が宵を呼ぶ。翡翠という源氏名も、客達の間でだいぶ浸透していた。
「今日のはカクテルはすごく綺麗な色ね。なんのカクテル?」
「秘密。飲んで当ててみてください」
本当は知らないだけなのだが、二人の女性は素直に一口飲み、なんだろうと首をかしげる。
「ライム? わかんないや。でもとても美味しい」
「ライムにしては甘いかもね。飲みやすいから私は好き」
そして、楽しげに顔を見合せた。
「気に入っていただけたようで良かったです。それでは、ごゆっくりどうぞ」
一礼してそのテーブルを去ろうとした時だった。ふいにシャツの袖を引かれた。

