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Memory of Night 2
第4章 新たな波風

「……こんばんは」
「やあ宵くん、会いにきたよ。いや、今は『翡翠』だったかな」
(めんどくせー)
宵は内心毒づく。
この前宵に縛りたいと言ってきた中年の男だった。あれから毎日のようにきて、見かけるたびに絡まれる。ぶっちゃけしつこい。
本名をうっかり教えてしまったことも悔やまれた。
「呼びやすい方でいいですよ。あとこれ、お返しします。こういうのは結構ですと、この間言ったじゃないですか」
尻ポケットから万札を抜き、男に渡す。
「チップだよ。受け取りたまえ」
「お気持ちだけで。チップなら、ショーに出ているあの子達にどうぞ」
「……つれないねぇ」
春加に預かってもらっていた二万を前回返したばかりだった。
だが男はなかなか受け取らない。
宵は男が着ていたスーツの胸ポケットに折った万冊をねじ込んだ。その瞬間、右手首をぐっと掴まれる。晃に縛られ赤くなっていた場所をきつく握られ、痛みに思わず顔をしかめた。
「……いい顔するね。昨晩はお楽しみだったのかい?」
「何がです?」
「これはそういうプレイの痕だろう?」
「……っ」
爪で傷をなぞられ、思わず息を詰める。
(くっそうぜー)
宵はカクテルを頭からかけてやりたい衝動にかられた。客じゃなかったらこの手を振りほどいて、一発くらい食らわせていただろう。

