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Memory of Night 2
第25章 夏の終わり

「……なんだよ、それ」
宵からは一言だけ。
晃はすぐに言い繕う。
「なるべく会いにくるよ。毎週は無理でも、二週間に一度は、必ず……」
抱きしめる腕にも力がこもる。
腕の中の温もりを、ずっと手放したくなかった。
「……いいよ、来なくて」
だが耳に響いた宵の言葉に、晃は絶望する。
ーー拒絶。その二文字が浮かんだ。
金属のような冷たい何かで、心をえぐられたような気がした。
だが、宵の次の言葉は、予想したものとは大きく違っていた。
「ーー俺が会いに行く」
「え?」
晃は呆然と、宵を見つめる。
「だって絶対俺の方が暇じゃん。医学部って大変なんだろ? 実習ばっかって聞くし」
「まあ……」
「そんな状況でわざわざ帰ってこなくていいって。たまに来るときは、俺じゃなくて実家に顔出せよ」
「……あ、うん、そうだね」
「つか、そんなことだったんだな。びびらすなよ」
「え?」
自分にとっては大きな変化だった。宵にとっては、そうでもないのだろうか。
「最近変だったじゃん、ウサギみてーにくっついてきたり、かと思えばぼーっとして人の話聞いてなかったり。……受験、上手く行ってねーのかと思った」
「志望校に受からなそうってこと? まあ、本番まではわからないけどとりあえず模試はA判定、合格圏内かな」
「……さすがすぎ」

