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Memory of Night 2
第30章 花魁ショー

「よくドラマや映画にもなってるけどね。吉原は幕府公認の巨大な歓楽街だよ。遊郭がいくつも集まって、遊女たちがたくさん暮らす華やかな街。そこで遊女は客に体を売るだけじゃなく、色を売るんだよ。客の男と疑似恋愛をする。だからいろいろなしきたりも多いし、そういう行為に及ぶまで最低三回はかかる。そもそも破格の金額がかかるから、一握りの金持ちしか遊べないけどね」
「ふーん」
正直、たいした興味はなかった。
晃の隣でぼんやりとショーを見つめる。
幾本もの髪飾りや大きな帯で装飾された艶やかな彼女の姿は、それがそのまま商品のようだった。
三味線だろうか、古風な曲に合わせて扇子を広げ、ステージの上で舞う様は美しい。
時折客たちの方へと向けられる視線には、誘うような惑わすような色香が漂っていた。普段の彼女とはまったく違う雰囲気だ。
金色の髪と碧い瞳は彼女自身のもともとのものだろう。艶やかな和装と調和し、異色の雰囲気を醸し出している。
「両端のおかっぱの子達は?」
赤い着物姿だったが、アメリアよりは装飾の数がない。
「禿(かむろ)かなあ。遊女の見習いみたいなものだよ」
晃はそう言って、ふいに思いついたように宵の右手の小指に自分の左手の小指を絡めた。

