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Memory of Night 2
第37章 パンドラの箱

「ーーやっぱ別れよう。おまえ、重い」
高校からの帰り道、家の前まで送ってくれたあと、告げられた。なんとなく、最近態度がよそよそしいとは感じていた。ずっと上手くいかなかった。気持ちが離れていく
気配が少しでもすると、追わずにはいられなかった。その態度が、相手の重荷になるとわかっても不安でたまらなくなる。
ーー声が聞きたい、会いたい、毎日好きだと伝えてほしい。
昔から、依存癖はあった。酒や煙草にハマる前は、全部男に向いていたような気がする。
「……なんで? やなとこあったら治すから……」
「そういうとこ。ーーごめんね」
とりつく島もなかった。追いすがってもどうにもならないこと、経験からわかっていた。
千鶴は家の前まで立ちすくんでいた。
また、失った。何度めだろう。どんなに人から好かれても、いつも深い関係にはなれない。きっと男はすぐできる。また、同じように依存して、同じようにフラれる。
「千鶴」
玄関が開いていた。千鶴は慌てて涙を拭った。
振り向くとそこには、桃華の姿があった。一部始終を見られていたのかと思ったが、それについては何も言わなかった。
「ご飯できてるよ」

