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Memory of Night 2
第37章 パンドラの箱

 一言だけ。引き戸の古い玄関のドアは開け放したまま、桃華は中へと入っていく。
 表情の読み取れない灰色の瞳が、千鶴は無性に嫌だった。見下されている気がした。依存して、フラれて、そんな惨めな姿を見てもなお、桃華は何を言うわけでもなかった。
 千鶴は次第に服装も派手になり、夜遊びや男遊びをするようになった。朝まで帰らない日もある。忙しい両親はさほど気に止めてはいないようだった。桃華も、同じだ。千鶴の行動を咎めたりはしなかった。
 千鶴が高校二年の時、大きな転機があった。桃華が家を出ていってしまったのだ。
 短大を卒業してからずっと父が経営する工場で働いていたが、きっかけは母親が持ってきた縁談の話だった。

「見合いだなんてふざけんなよ、結婚なんてしないって言ってるだろ!」

 高校から帰ると、桃華の怒鳴り声が工場に響いていた。

「ねえ桃華、落ち着いて。私はただ、あなたに幸せになってほしくて……」
「幸せ!? それがなんで見合いになるんだよ!」
「あなた一度も恋人を連れてきたことないじゃない。言い寄ってくる人はたくさんいるのに、見向きもしないんだもの。もう二七になるのに。見合いしたからって、必ず付き合わなきゃならないわけじゃないし、男の人にもう少し興味を……」
「そんなのあたしの勝手だろ!」
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