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Memory of Night 2
第38章 救援

「……鍵が締まってる」
やはりおかしい。寝ていたとしても、これだけ何度も呼びかけ連続でノックされれば、普通起きるはずだ。
「下に居ませんでしたよね?」
「うん、見かけなかった」
「すれ違い、ですかね?」
「……トイレとか?」
「それこそ、二人で一緒には行かないでしょ? どんな仲なの」
食堂には確かに居なかった。階段も一ヵ所だし、二人がほんの少し前に食堂に向かったのだとしても、絶対に途中で鉢合わせるはずだ。
とすると、この屋敷に居ない可能性が浮上する。
「もしかして、出かけたんですかね?」
「こんな時間に? どこへだい?」
「俺が知るわけないでしょう?」
亮は少し考え、言った。
「……マスターキー、土方さんなら持ってるかもしれない。作ってない可能性もあるけど、これだけ大きな屋敷で人をたくさん呼ぶなら、ある可能性が高い気がする。聞いてくる」
この屋敷の主なら、先ほど食堂で見かけた。誰か、若い女の子と楽しそうに談笑している姿が晃の視界の隅に映っていた。
連絡が取れないのでは探しようがない。とにかくまずは部屋の中を確認するため、マスターキーがあるかどうかを聞きに、土方のもとへと向かうことにした。

