この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night 2
第38章 救援

二人で階段をかけ下りているまさにその時だった。
突然、屋敷の入り口の両開きの扉が開いた。
玄関は階段の正面にある。驚いたことに、現れたのはアメリアだった。
「アメリア先生?」
亮が呼びかけ、走り寄る。
屋敷に飛び込んでくるなり倒れこむように膝をつくアメリアを、とっさに亮の両腕が支えた。
「……どうしました? 大丈夫ですか?」
頷きはするものの、とても話せるような状態には見えなかった。
肩で大きく息をつきながら、時折呻き声が漏れるのみ。汗をかいているのか、髪が濡れて顔に張り付いていた。こんな寒いのに、まるで全力で走ってきたあとみたいだ。
手ぶらでカバン一つ持っておらず、白いセーターは泥だらけだった。
ただ事ではないことは、一目瞭然だ。
「何か飲み物持ってきます!」
晃は急いで食堂に走り、コップいっぱいの緑茶をアメリアに持っていった。彼女はそれを受け取り、いっきに半分ほど煽る。口元をぬぐいながら、ようやく少し落ち着いたようだった。
「Somebody call for help! 」
アメリアは大きく息を吸い込み、ネイティブな英語で、助けを呼んで、と叫んだ。

