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Memory of Night 2
第38章 救援

 二人で階段をかけ下りているまさにその時だった。
 突然、屋敷の入り口の両開きの扉が開いた。
 玄関は階段の正面にある。驚いたことに、現れたのはアメリアだった。

「アメリア先生?」

 亮が呼びかけ、走り寄る。
 屋敷に飛び込んでくるなり倒れこむように膝をつくアメリアを、とっさに亮の両腕が支えた。

「……どうしました? 大丈夫ですか?」

 頷きはするものの、とても話せるような状態には見えなかった。
 肩で大きく息をつきながら、時折呻き声が漏れるのみ。汗をかいているのか、髪が濡れて顔に張り付いていた。こんな寒いのに、まるで全力で走ってきたあとみたいだ。
 手ぶらでカバン一つ持っておらず、白いセーターは泥だらけだった。
 ただ事ではないことは、一目瞭然だ。

「何か飲み物持ってきます!」

 晃は急いで食堂に走り、コップいっぱいの緑茶をアメリアに持っていった。彼女はそれを受け取り、いっきに半分ほど煽る。口元をぬぐいながら、ようやく少し落ち着いたようだった。

「Somebody call for help! 」

 アメリアは大きく息を吸い込み、ネイティブな英語で、助けを呼んで、と叫んだ。
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