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Memory of Night 2
第38章 救援

「待て!」

 強い言葉と共に、腕を掴まれた。
 亮だった。亮もアメリアの英語はおおかた理解できたらしい。

「離せ! 助けに行かないと……っ」

 振りほどこうとした瞬間だった。
 唐突に頭に冷たい液体を浴びせられ、晃は驚いてその場で動けなくなった。
 濡れた前髪が目元を覆い、鬱陶しさに前髪をかきあげる。アメリアにと自分が持ってきた緑茶の残りだと数秒遅れて理解した。

「何するんですか!」
「うるせぇ、少し頭冷やせ! おまえ一人で行って何ができる! だいたい、場所もわからないだろ!」

 亮の口調も声色も、今までとは全然違った。
 鋭い切れ長の瞳がさらに鋭さを増した。
 こっちがおそらく本性だ。数時間前に見た、全身に施された刺青を思い出す。

「まずは119番通報だ。とりあえず助けを呼べ。洞穴の場所がわからない、とりあえず屋敷に来てもらえ」

 亮はスマホを弄り、住所が書かれたメールを晃に見せた。ここの住所だ。

「俺は土方さんに土や岩を掘る道具を借りてくる。……そうだな、重機でもあれば早いんだが。あとは雪道を走れる車が何台あるか。とにかく人手が欲しい。若い男のスタッフ達に声をかける」
「……は、はい」
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