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Memory of Night 2
第38章 救援

口調は荒いが、冷静で的確な判断だと思う。
晃は大きく頷いた。
「どれくらいの大きさの洞穴かはわからねぇが、全部崩れちまってたら二人が生きてる可能性はかなり低い」
ぐらぐらと、目の前が真っ暗になり揺れているような錯覚を覚え、晃は無意識のうちに拳を強く握りしめていた。こめかみの辺りが痛んだ。
必死に頭から振り払おうとしても、どうしても、最悪の結末が浮かんでしまう。
「だけどーー」
口調がほんのわずか、和らいだ。はっとして、晃は顔をあげた。
「崩れたのが一部だけなら、まだ中で生きている可能性は充分にある。震度も1だったし、簡単に諦めんなよ、大事な恋人だろ? 生き埋めになってたとしたらとにかく時間との勝負だ」
二人はほぼ同時にそれぞれの腕時計を見た。
地震が起きてから、すでに四十分以上経過している。
「ぼけっとしてんな」
低い声で晃にそう言い、アメリアに視線を向ける。
「アメリア先生、洞穴までの案内、できますか?」
「Yes……!」
痛々しいほど震えてはいたが、はっきりと頷いた。
(宵……! 今助けに行く!)
無事を願い、心の中で声をかけた。一刻も早く自分たちにできることをするしかない。
亮は食堂へと走り、晃は緊急通報をするためスマホを耳に当てた。

