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Memory of Night 2
第38章 救援

「……土の中って、けっこうあったかいんだな」

 ふいに宵が呟いた。
 千鶴は壁を見つめながら頷いた。

「土の中の温度はほぼ一定なんだよ。冬には暖かく感じるし、夏は涼しい。ーーそんなんどうだっていいから、タバコよこせよ」
「まだ諦めてねーの?」

 宵がため息混じりに言う。

「どんだけヘビースモーカーなんだ。あんた普段、一日何本吸ってんの?」
「……二」
「…………二本? そんだけ?」
「二箱」

 驚いたように振り向いた宵は、呆れたように灰色の瞳を細めた。

「単位違うじゃん」

 それから洞穴の奥を見渡す。

「吸いたいなら探しにいけって、自力で」
「…………クソガキが」

 つい、吐き捨てるようなトーンで呟いてしまった。宵は特に気にした様子もなく、肩を揺らして笑っている。
 横顔を見て、あの日振り向いた桃華の顔と重なった。狭い風呂場で髪を切っていた。ちょうど、今の宵くらいの長さだ。振り向いた時の、物憂げな顔が瞼裏に浮かび、なんとも言えない気持ちが込み上げてくる。
 ふいに宵が千鶴を振り向く。

「嘘だって。マジで怒るなよ。ここを出て、あんたの怪我が治ったら買ってやるって」
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