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Memory of Night 2
第39章 幸福の形

「ふーん。セックスは?」
「そんな話聞いてどうする? おまえほんとにそういうの抵抗ないんだな」
「自分の話はやだけど、人のは別に」
「そういうの自分勝手って言うんだよ」
「だから、あんたに自分勝手とか言われたくねーって。どんだけ振り回されてきたと思ってんだよ」
「……」
 千鶴は黙った。それとこれとは、また別の問題な気がするのだ。
 だが、その部分を隠したところでどうもならないので、千鶴は素直に頷いた。
「……してたよ。だけど亮以外ともしてたから、そんなもの、付き合ってたかどうかの証明にはならない」

 千鶴は瞼を閉じた。昔のローズの店の様子が浮かんでくる。客層は男ばかりで、今よりも露出の多い格好をしたスタッフが多かった。胸や尻を触らせるのは当たり前。それ目当てで来る客も多い。
 誰もが楽しめるようなイベントもなく、過激なショーばかりだった。年齢制限もあってないようなものだ。大人と来れば誰でも入れる。
 店でおっ始める客なんて腐るほどいた。
 スタッフに手を出したり、店の外に連れ出してやりたい放題、治安が悪いなんてものじゃなかった。
 亮に声をかけられた時、そんな場所だと知っていたら働かなかっただろう。

「続き」

 まるで寝る前の絵本の朗読を待つような顔で、宵が促す。
 千鶴は頷いた。
 そこからはもう、落ちていくのみだった。
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