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Memory of Night 2
第40章 罪

 ーー姉に会いに行こうか、千鶴はずっと迷っていた。二ヶ月後の予定日は、四月の上旬。
 桃華にはもう五年会っていない。故郷を離れ、彼女がどんなふうに生きてきたのか、まったく興味がないと言えば嘘になる。ずっと男を寄せ付けなかった桃華がなぜ、突然結婚などする気になったのか。どんな男を将来のパートナーに選んだのか。千鶴にはまだ、どこか信じられない気持ちが強かった。
 そんな折、母から荷物か届いた。あれからも電話は何度かかかってきたが、ずっと無視し続けていた。諦めたのか、数日が経つと着信はなくなった。
 箱を開けると、中身はベビー服が三着と新生児用の毛布や前掛けだった。ベビー服は産まれてくる子が男の子でも女の子でも使えるような、無難な色やシンプルなデザインが多かった。
 箱の下に、手紙もあった。
 ーー桃華に会った時に渡しほしいという旨の短い文が書かれていた。
 母なりの気遣いが読み取れ、千鶴は複雑な気持ちで箱の中身を眺めていた。
 母も父も二人なりの価値観の中で、桃華の幸せを願った。たとえそこにズレが生じていたのだとしても。同時に、ずっとすれ違ったまま、分かり合うのは難しいように思えた。
 これだけは届けるか、と、千鶴は決意した。
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