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Memory of Night 2
第40章 罪
「ーーおまえに言われなくたって、わかってたよ……っ」
ネジが外れたように、千鶴は声を張った。
たぶん途中から支離滅裂だった。遠い遠い昔話を、まともに話せたかどうかすらわからなかった。
箱に押し込めて何重にも封をして、心の奥へ奥へと追いやっていた全てがまるで濁流のように押し寄せていた。呑み込まれそうになっても、千鶴にはもう抗うすべなどなかった。
認めてしまう以外に、どうしようもなかった。
「……あの、ドライブん時の話?」
囁くように、宵が問い返してくる。
千鶴は唇を噛み締めた。
宵に誘われイルミネーションを見に行った日。千鶴が嫌いなのは桃華でも他の誰でもなく、千鶴自身ではないかと、そう指摘された。
見透かされた気がした。覆い隠していた秘密を、暴かれたような気がした。
ーーそんなもの、最初からわかっていたんだ。
桃華は悪くない。千鶴が子供の頃も、最後に会ったあの雨の日も、桃華は変わらずに千鶴の幸せを願ってくれていた。
そんな彼女に嫉妬して、遠ざけて、傷つけて、最悪な結末へと導いたのは、他でもなく千鶴自身なのだ。
気付いたら、どうしようない自分をどうにもできないほどに嫌いになっていた。