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Memory of Night 2
第40章 罪
笑うのをやめ、宵は千鶴に真面目な表情を向けた。
「それ、むしろ正解だったんじゃね?」
「……は?」
「育てられないって思うなら、施設行けは正しいだろ? 志穂さんのこと知ってるっけ?」
「……おまえを引き取った女だろう。血の繋がりは一切ないってね。役所のおっさんが、うちに来た時言ってた。その人が引き取ると申し出てますが、あなたはどうしますかって。……あなたには、おまえを引き取る権利があるんですよって」
それを千鶴は拒んだのだ。桃華と秋広の子を。血の繋がった甥を。捨てたも同然の行為だと思っていた。
だが宵は、まったく違う捉え方をしているようだった。
「約束通り、今度は俺の話してやるよ。あのまま志穂さんに引き取られたけど、結局あっちが体壊してずっと入院してたんだよ、去年まで。だから手術費用稼ぐために、バイト掛け持ちしたり売りみたいなことやってた。……母さんと俺は、全然違うだろ?」
千鶴の顔を見る宵の灰色の瞳が、瞼の奥に消える。
確かに違う。桃華はいくらお金のためと言っても、そういう売春のような行為はできない。
「似てんの顔と体質くらいで、中身は違うんだよ。全然」
そうして再び志穂の話へと戻る。